ハイ! 東京営業 です! 善さんの営業技術奮戦記 第2話

第2話 東京ってこんなとこ?

 東京への赴任は、私の担当していたピスタワルデオ用メータの1次試作が完了し、トヤタさんへ無事納入が出来るまでということになりました。それはそれは苦労して、なんとか1次試作のものが完成し、そのときは、そりゃ感動したものです。その後の開発ではまたさらに苦労話があったようですが、最終的には量産にこぎ着けられたとのことです。

 まずはその車両開発日程ありきでしたので、一段落した4/14(月)が赴任日と決定しました。しかし、その前に営業の方へのご挨拶と、新居を探すために、4/3に東京へ向かったのです。
 私は東京へは通過したことはあっても、その地に降り立つのは初めてではなかったかと思います。少なくとも、新宿、渋谷、池袋などには行ったことがなかったことは確かです。

 そう、それはうららかな春の日差しが差し込む暖かい日でした。「ブツブツ・・・なんでぼくやねん・・・ブツブツ」と、東京駅コンコースをとぼとぼ歩く善さんはつぶやいていました。
 「ぼくは前の部署では必要のない人間だったのだろうか?」
 そのときはこんなことを考えていたのです。

 「営業ってどんなところなんだろ?」
 「東京駅って、広いな!」
 「ん、山手線ってどれだろう?」
 「あれ?山手線って黄緑のホーム案内が2つあるぞ!どっちだろ?」
 「品川・渋谷方面・・・だね!」
 東京駅って広すぎです!

 勤務先は東京支店。恐れ多くも、うちは本社が愛知県にあって、東京には支店しか置いていないのです。それは渋谷区松濤というところにあります。普通は読めないし、書くのも大変(^_^;)・・・「しょうとう」と読みます。
 このとき山手線も初めて乗りました。
 「へぇー、これがあの満員電車で悪名高い山手線かぁ!さすがにこの時間は全然混んでないなぁ。しかし、いろんな人が乗ってるねぇ。」
 元々、どこに行くのもクルマで、電車に乗るのが大嫌いなので、落ち着きません。電車の中でもきょろきょろしていました。やはり、雰囲気がどうも違う。落ち着いている感じです。ぼくが落ち着いてないだけか!

 事前に東京支店の方より、渋谷で降りたら歩いて来て下さいと地図を頂いていました。
 ハチ公前に出て下さいとありますので、ハチ公口という改札から出てみました。おー、広いじゃん!って感じです。ビルが四方に林立し、でっかいモニターが3つも置いてある。別世界だね!
 わざわざ、ハチ公を見つけました!
 「ほーー、これがハチ公かぁ!」それはただの犬の銅像ですが、なんかこんなところまでやってきたものだなぁと感動してしまいました。

 それから、東急文化村の方へ行けと・・・フムフム
 このスクランブル交差点を対角線方向に渡るのか・・・フムフム
 ちょっと待てよ・・・向こうにものすごい人が居るんだけど、みんなこっちに渡ってくるのか?
 (・o・)ゲッ!! 来たよ来たよ!こんなの渡れないじゃん!
 ものすごい人の波が押し寄せてきました。これをかわして向こうに渡るのは至難の業に思えました。向こうに着いたときにはすでに信号が点滅から赤に変わったところでした。
 こんなところで溺れたくないぞ!とそのときは思ったものです。

 さて、気を取り直して繁華街をずんずん進んでいきました。まぁ、広島・流川の繁華街を知っているので、道が汚いことはわかります。ただ、広島と一番違うところは、歩いている人の数と層です。つまり、高校生風の女の子がものすごい多いこと。まだお昼過ぎなんだけど、こんなところを歩いてていいの?
i それから、行き交う人の数が多いこと
 それよりも、たぶん想像できるのは、自分が田舎臭くてきょろきょろしてるんだろうなぁ!と自分で思いつつ、きょろきょろしている姿が思わず恥ずかしくなったりして。なに考えているのか・・・?

 東京支店は東急文化村からまっすぐ山手通りまで登り切ったSHIBUYA21の対面にあります。5階建てで、外から見ると案外きれいなビルですし、後から知りましたが渋谷の高級住宅地にちょっと大きめの平面駐車場があって、多くの社有車が置いてあるのはさすがに自動車部品メーカーです。

 中に入って事前に聞いていた内線電話番号にかけて、カトーさんという歳の頃は50前後に見える女性の方にコンタクト。私が電話を掛けた1Fまで迎えに来てくれました。その後、私はこのカトーさんに大変お世話になることになります。

 自分の部署があるのは4F。
 ちなみに当時は1Fがロビーとサービス、2Fが総務と応接、3F市場品質、市販、4Fが直納営業、5Fが会議室という構成になっていました。そう、私が所属するのは直納営業のホソダ向け営業技術。そしてそのフロアには、関東近郊に拠点を持つ自動車・バス/トラック各社向けの営業部隊が居ました。

 なぜこんなところにこの人たちが居るのか・・・そのときはさっぱりわかりませんでした。
 
(続く)